2014年4月23日水曜日

可哀想

障害を持つ息子が可哀想なのではなく、
障害を持つ息子を持つ自分が可哀想なだけなのだ。
浅ましいけれどそれが私の心の現実であり、
このままでは決して前には進めない。

もっと厳密な覚悟が必要だ。
そして、必ず前に進む。

彼がひとりで服を着替え、
ひとりで食事し、
ひとりで排泄し、
一定の時間着席でき、
そして、言葉による意思疎通が多少なりとも出来るようにする。
きっとそうする。



2014年4月15日火曜日

四月

長男と朝の散歩に出ると、
彼と同い年の、普通の子供たちを嫌でも目にする。
通い始めた幼稚園の迎えのバスを待っている。
親と手をつないで。
長男に目をやると、道沿いの住宅の門扉をいじっている。
門扉にこだわりがあり、一軒ごとに取手を回さねば気が済まない。
止めると暴れる。

次の門扉へ移る時、右手を握ろうとしてみた。
払いのけられた。

昼前の公園、長男が遊ぶすべり台に、幼稚園児が二人走ってくる。
真新しい水色の帽子だ。
階段を勢いよく上るが、てっぺんで息子を先頭に渋滞する。
「ねえ、早くすべってよ」
そう言われても動かない。すべり台の流儀を理解していない。
母親たちが怪訝な顔つきになる。
「すいません、うちの子、障害があって、言葉が無いんです」
「ああ、そうなんですか。だいじょぶです」
しかし子供たちはすぐに焦れて
「ねえママー、この子へんだよー」
急いで
「ごめんねー。ほら、こっちだ」
抱きかかえて無理やり降ろし、その場を離れた。
「すいません、失礼しました」

福祉センターの貼り紙を頼りに、
児童発達支援デイサービスの見学に行った。
同年代の障害児を目にすると心が落ち着く。
そして私は較べる。
あの子はうちの子より重そうだ
あの子はうちの子と同じくらいか
あの子は
あの子はあの子は

帰り、息子は自転車の後ろの座席で
うおおおう、うおおおうと大声を上げている。
すれ違う人の視線を感じる。
今のところ、彼が発する唯一の声だが、
喜んでいるのか怒っているのか分からない。

まだ四月の半ばというのに、
午後の日射しは初夏のようだ。

飲みたい、飲んで寝てしまいたい。