夏の間じゅう、駄目な親だった。
長男の障害について、
自分が死ぬ時は道連れにするしかないとまで思い詰めた。
そのような思い詰めかたこそが、
家族を不幸せにしている元凶だった。
八年間服用していた向精神薬を、全てやめると決めた。
ベンゾジアゼピン依存から脱却する。
六月、主治医が薬を変えた際には
激しい離脱症状があった。
体中が激しく痛み、手足が震え、
学校のチャイムの音が二十四時間頭の中で鳴っていた。
薬を元に戻してもらい、
徐々に服用量を減らすことにした。
ピルカッターで錠剤を刻みながら、
「地に足つけろ、地に足つけろ」と念じた。
霧が晴れるみたいに意識が澄んできた。
霧をかけていたのは薬か、自分か。
たぶん両方なのだろう。
地に足つけろ、河を渡れ
大人になれ