2015年12月30日、仕事納めにあたって
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今年は長男が幼稚園に入園、
自分も二十年近く身を置いてきた放送の現場を離れ、
家族を取り巻く環境が大きく変化した年でした。
私の方は四十の手習い、新しい仕事に文字通り四苦八苦でしたが、
長男は楽しそう、日々成長を見せてくれて嬉しく思っています。
障害児を普通の幼稚園に通わせること、
介助の先生がいてくれるとはいえ、正直言って不安だらけでした。
「どうせ滅茶苦茶になるだけだ、この子を人目に晒したくない」
駄目な物思いに囚われていました。
前へ踏み出すきっかけをくれたのは、
発達支援デイサービスの先生です。
「お父さん、青くんが十八歳になった時、どうなっていてほしいですか?」
その日彼女が発した問いに、私は全く答えられませんでした。
考えたことがなかったからです。
私の様子をしばらく見てから、先生は言いました。
「お父さん、ほとんどのことからは逃げることができます。
でも、親であることからだけは、逃げられませんよ」
静かで厳しい言葉でした。
でも次の言葉は優しかった。
「いっぺんやってみましょう。
うまくいったらラッキー、
うまくいかなかったら、全力でここへ逃げてきてください」
逃げるなと諭す一方で、
逃げ場所も示してくれたことに感謝しています。
長男が自閉症と知ってから二年半、
受容できたかと聞かれれば、私も妻も「いや全然」と答えるでしょう。
しかし向き合いながら、
皆さんに助けてもらいながら、
家族で前に進んでいけると思っています。
来年もよろしくお願いいたします。
皆さんにとって2016年が、良い年となりますように。