2019年12月1日日曜日

私のようだ

 子供達の寝かしつけの最中
「ねえ、橙が泣いているのよ」
と、妻が言った。
右隣の次男を見ると確かに、
両手で目を覆って、口をへの字にひん曲げている。

うちでは本来、長男の青と私、次男の橙と妻の組み合わせで寝ているのだが、
寝かしつけの時は長男も「ママそばにいて」と強く主張するので、
彼らが寝入るまではたすき掛けで、
長男と妻、次男と私で横になることが多い。
別段、次男のほうがそれを嫌がる様子は、今まで無かったのだが。

頭を撫でながら
「ママがいいか?」
と訊くと、うなずく。

「パパよりママがいいか?」
「・・パパよりママがいいよ」
「なかなか残酷なことを言う」
すると向こうの妻が
「言ってくれなきゃわからないよ」
言えないよなあ、と思う。
「言えないよなあ、わかるよ」男だからね。

程なく青が寝入ったので、妻と交代しようと起きた。
妻が橙に
「パパにありがとうって言いなよ」
「・・ありがと」
「いいさ」

これが男親というものかなあ、と、自分の寝床に入りながら思う。
悲哀なのか醍醐味なのかわからない。
でもこういう気分は嫌いじゃない、男だから。

私は家族みんなを愛しているが、今はとりわけ、次男のことが気にかかる。
君はにいにのこと、よくわかっているんだね。
それで我慢して、我慢しきれなくて、まるっきり私のようだ。

泣きたい。