2018年1月25日木曜日

ワカッター

月末に税務署への調書提出を控え、作業量が多い。
職場から妻へ電話した。

「ごめん遅くなる。青は?」
「パパとお風呂入るって言ってる」
「直接話してみるよ」

妻が端末を息子に向けると
「パパー!」
「おー青くん、元気?」「ゲンキー」
「ごめん青、パパ遅くなっちゃう。お風呂、先に入ってくれないかな」

間。

「パパトオフロハイルー」
そこへ妻が助け船、
「パパ遅いって。橙ちゃんとママと、先にお風呂入ろ?」

間。

「ワカッター」
「わかったの(驚)?」
「ダイシャンママアオ、オフロハイル。ワカッタ」
「すごいねえ。ごめんね青」
「イイヨー」

切った後、廊下で暫くぼうっとした。
本当のところ、わかってくれると期待していなかったからだ。
期待していなかった自分を恥じた。

帰宅すると、明かりを落としたリビングには誰もいない。
寝室へ行ったら、ベッドに座った青がさめざめと顔を覆っているので
「どうしたの?」と妻に聞くと
「パパ帰るまで寝ないって、泣いちゃって」
胸がぐっと締め付けられ
「ごめんな。パパ帰って来たよ」
すると手を降ろし、はあっと息をつくと、横になって
「オカエリイ」
「ただいま」

子供に与えてもらう幸せを全身に浴びた。
でもそれに耽るのも違う、親なのだから。
「パパアシタ、オムカエ?」
「うん、明日お迎え、遅くないよ。帰ったら、パパとお風呂に入ろうね」