2018年8月27日月曜日

新しい力

長男が、いわゆる「普通の子供」ではないと判ってから、
(空回りや遠回りに満ちた)「受容の過程」というやつを経て、
とにもかくにも長男との向き合いを人生の中心に置き、
他のあらゆることに優先させると腹の底から決めて、ここまでやってきた。
だから、自分の楽しみに自分の時間を割くことに、
(たとえば外でビールを飲むことにさえ)罪悪感を持っていた。
しかし最近は、心持ちも変わりつつある。

今年になって、昔のバンド仲間との音楽を再開したが、
ちょっと前なら誘いを受けても、おそらく断ってしまっていただろう。
「やってもいいかな」と思えたのは、
第一には長男が、こちらの想像を遥かに超えて成長してくれているから、
そして第二には、妻が
「それはあなたにとって大切なことだから、やったほうがいい」
と言ってくれたからである。

日曜夕方、家族四人で、
地元・八幡山小学校の父親会主催の花火大会へ行った。
長男が通っている学校でもないし、行く前は少し億劫だったが、
校庭に三百家族以上が集まる盛況、
幼稚園時代の同級生や親御さんも声を掛けてくれて有り難かったし、
手作りのナイヤガラまでやってしまう、実行委員会のお父さん達の気合も痛快だった。

帰宅してから、何の気なしに
「子供はかわいいね、他所の子だってかわいく思う」と呟いたら、
妻が「そうね、今そう思えるのは幸せね」と言った。
ここ数年、家族で進んできた細い道のことが思い出された。
今、道幅は広がり、視界は開け、私達は手を繋いでいる。
長男が花火の楽しみを覚えるように、
自分も新しい力を蓄えようと、強く思った。