2012年7月30日月曜日

Don't Look Back in Anger

息子がどうやらギターを好きなので、
休日の食事どきなどにじゃらじゃら弾く。

先日、なんとなくやっているうちに
OasisのDon't look back in angerになり、
オアシスは妻にとっても思い出深いものだから
(高校時代カナダに留学した際、
 Morning Gloryをよく聴いていたそうだ)
久しぶりに歌ってみた。

いったい何について歌っているのか、
詩の意味は全然わからない。
しかし、やはり素晴らしく良い歌である。
たとえば冒頭の
"Slip inside the eye of your mind"
とか
サビ前の
"You ain't ever gonna burn my heart out"
とか、
カタカナで書けば
「すりぴんさいーでぃあいおびょーまーあいん」
「ゆーえいんえう゛ぁーごーなばんまーはあらあーああ」
て感じなのだが、
これを声に出して歌うと
なんだかよくわからないけど
とにかくすごく気持ちいい。

で、サビだが

And so, Sally can wait
She knows it's too late as we're walking on by
Her soul slides away
But don't look back in anger
I heard you say

一行目の"so""wait"と
三行目の"soul""away"が韻を踏んでいる。
これがもうとにかく、ものすごく気持ちいい。

ただ
何を歌っているのかは、やっぱり皆目わからない。
(サリーって誰だ)
作曲したノエル・ギャラガー自身、この詩について
「単なる言葉遊びで、意味など無い」などと言っていて、
・・・いやーそんなことはないでしょう、
そんなのカッコよすぎるでしょうと思うのだが、どうだろう。
本当にそうなのかもしれない。

重要なのは、
この詩が何を言っているのかさっぱりわからないのに、
全体としては
それこそ立ちのぼるように『切ない』ということだ。
『全体として』
青春の終わりとでもいうべきものが
過不足無く表現されているように強く思える。

荻原朔太郎は「月に吠える」の序文で
『すべてのよい叙情詩には、
 理屈や言葉で説明することの出来ない一種の美感が伴ふ。
 これを詩のにほひといふ』
と書いていて、
この考えがまったく朔太郎オリジナルのものなのか、
それより前に誰かが言ったことなのか知らないのだが、
まったくもってこの『詩のにほひ』というやつが
Don't look back in angerには充満している。


僕はオアシスのライブを一度しか観たことがない。
2005年の秋、高校時代のバンド仲間が
「代々木体育館のチケットが4枚とれた。
 俺とヨメさんとおまえと、
 あとおまえが誰か誘って4人で行こう」と言うので、
それはいいねとほうぼう声をかけてみると、
どうしたものかその時にかぎってみんな都合が悪く、
最後に声をかけた、
当時ほとんど面識の無かった後輩の女の子が来ることになった。

さらに当日になって
今度はチケットを取った友人夫妻が来られなくなり、
結局、僕はほぼ初対面の
その女の子とふたりでオアシスを観たのだが、
その彼女が、いまの妻である。
あのとき、大声で合唱したDon't look back in angerは忘れがたい。


ロンドンオリンピックの開会式で
アークティック・モンキーズが演奏していたが、
「ここでオアシスが見たかったなあ」
と思ってしまったのはトシのせいだろうか。
(事実上)解散してしまったのは、実にもったいないことである。