2014年5月14日水曜日

遠足

発達支援デイサービスの遠足で、井の頭自然文化園。
ハムスターを膝に乗せる順番を、
長男一人だけ待てない。
泣き叫びながら柵を越えていこうとするのを
先生二人と一緒に押さえつける。
十五分ほど暴れ続け、職員から拒否され、
結局一人だけ、ハムスターに触れなかった。
一人だけ。

弁当の時間、食べさせる気が起きない。
見かねて先生が給仕する。

別の先生が隣に座って
「疲れましたか」
「はあ」
「良くなりますよ。出来るようになります、いろんなこと」
「ええ」
嘘だ。何もかも嘘だ。

電車で帰るのが億劫。
乗り換えでいつも暴れるし、
やっと最寄駅に着いても、そこから家まで
全ての門扉を回し、
全ての外階段に上り、
全ての植え込みに入り、
少なくとも一時間かかる。

タクシーに乗った。
後頭部が妙に火照り、だらだらと流れる汗が襟を濡らすが、
首から下は全身寒い。
最近はいつもこうだ。

ソラナックスを飲むと汗は止まる。
体も温かくなる。

早く帰って飲まねば。



2014年5月6日火曜日

デイサービス

発達支援デイサービスは本来親子分離だが、
いきなりは無理なので、当面同伴で参加する。
火曜と金曜、午前9時から午後1時まで。
早く分離して楽をしたいが、事を急いでトラブルになるのも怖い。

走り回っている長男を何とか椅子に座らせようとするけれど、
いつまでもうまくいかず、つい声を荒げてしまう。
長男があああと叫びながら玄関へ逃げる。
追いかけて引き留めると、下駄箱から靴を取ってこちらに投げつける。
カッとなって頭をはたくと、火が付いたように泣いて突っ伏す。

先生が来て、息子の背中をさすりながら
「大丈夫大丈夫」
何が大丈夫なのだろう?
「お父さん、靴を投げるのもひとつの意思表示です。
 何も表示できないよりずっとマシです」
「叩いてしまいました。いけなかったですよね」
「それは仕方無いですよ。悪いものは悪い」

昼食時、妻が詰めた弁当を食べさせる。
塩昆布をのせたごはんと卵焼き。これしか食べない。
隣の子を見ると、具の無いケチャップライスだ。
あれよりはいい。

スプーンを三回ほど口に運んだところで、席を立って遊び出す。
先生がすぐに
「青くん、もうごちそうさま?」
反応が無いと
「はい、ごちそうさまね。お父さん、お弁当しまってください」
「戻ってきたらまた出しますか」
「いえ。席を立ったら食事はおしまいです」
あとは泣こうが喚こうが覆らない。
厳しい。

ところがその厳しい先生たちに、
長男が急速に心を許しつつあるのがわかる。嫌でも。
時折見せる花のような笑顔、
あれを私に向けることはない。

心穏やかでいられない。
何が違うのか。