2015年10月10日土曜日

パパアリガト

長男、初めての運動会。
父兄でいっぱいの騒がしい園庭に対応できず久しぶりのパニック、
抱き上げた私の肩に顔を埋めたまま動かない。
降ろそうとすると暴れる。

大丈夫、想定内だ。
担任と話をつけ、抱っこしたまま開会式に出た。

その後もなかなか状態は良くならず、
歌では耳をふさぎ、ダンスでは目をふさぐ。
練習では一人でやれていたという徒競走も、
結局、抱えたまま親子で走った。

でも大丈夫、想定内だ。

大切なのは進行の妨げにならないこと、
親が不機嫌になって周りに気を遣わせないこと、
全部想定どおりやれている。

走り終えて列の後ろに並んだ。
するとしゃがんだところで、
長男が突然顔を上げると、私の目をまっすぐ見て

「パパアリガト」

と言った。

パパアリガト。
初めての二語文。
ひとつだけ、これだけ想定外だった。
抑える間もなく熱いものがこみ上げ、
四歳児の群れの中、大人ひとり、少し泣いた。